大人気ドラマ『ブラッシュアップライフ』から読み取る「人生の目的」「徳を積むこと」とは?

大人気ドラマ『ブラッシュアップライフ』から読み取る「人生の目的」「徳を積むこと」とは?

 

バカリズムさん脚本で話題のドラマ『ブラッシュアップライフ』。日テレで日曜22:30から放送中です。

「脱・二項対立シリーズ」後編をまだ配信していませんが(^^;、このドラマがめちゃめちゃ面白くて、佳境に入ってきたので、見逃している方にはぜひ観ていただきたいし、観ている方にはさらに面白く観ていただきたいと思って執筆し始めたら、勢いそのままにコラムが出来上がりました(笑)

「脱・二項対立シリーズ」の前・中編は過激な内容ではありましたが、お陰様で消されずに、こうやって元気に生きておりますので(笑)、希望となる後編の配信は今しばらくお待ちくださいm( _ _ )m

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タイムリープして人生をやり直す『ブラッシュアップライフ』

市役所に勤める主人公の近藤麻美(安藤サクラ)は、友人と楽しい時間を過ごして、別れた直後に不意の事故で死んでしまい、目覚めたのは真っ白な死後の世界。

「死んだ?」

真っ白な世界を歩いていくと、ポツンとある窓口。バカリズムさんが受付をしており、「33年間お疲れ様でした」と、亡くなった事実を伝える。


そして、すぐさま「次の生命」への案内をされ、「次回はグアテマラのオオアリクイです」と告げられる。


人生での徳によって、生まれ変わり先が変わり、希望する生まれ変わりではないのだとしたら、徳が不足していると説明されます。
麻美が渋っていると、「では、来世ではなく、今世をやり直すかですね…」と言われ、麻美は徳を積むために、再度人生をやり直すことに決める。

というお話。

 

アニメなどでは、転生モノやタイムリープモノは多いものの、実写ではまだ多くないジャンルということもあり、個人的には、期待していた以上に面白いドラマで、今からでもぜひ見ていただきたい名作です。

今回は、ネタバレも含みますが、わかっていても面白い!伏線が散りばめられていて、一度見るだけでは理解できないような作品でもあるので、観ている方はもちろん、観ていない方でも、ネタバレしてもあまり気にならない程度に取り上げていきます。

道楽舎のコラムを読んでいる方はご存知でしょうが、度々脱線するのが特徴なので(笑)、どうせ本筋よりも道草を食うような内容になるので、多くの方に読んでいただければと思います。

 

人生をやり直せるとしたら、どうする?

タイムリープのドラマといえば以前、『妻、小学生になる』という作品があり、コラムとしても取り上げました。

卒業生、新入生、新社会人に捧ぐメッセージ!(後編)「【Re:青春】から始める道楽生活!?」

そのドラマがきっかけで、「Re:青春」という道楽ワードが生まれることとなりましたが、『ブラッシュアップライフ』からも、そういった何かを感じています。

以前のコラムでは、人生をやり直せるとしたら、「もっとその時々を存分に楽しむ」という一つの結論を出しました。不自由であっても、大人の感覚で、その時にしか得られない不自由感を楽しみたい。過ぎ去ったからこそ、失ったからこそわかる価値もある。それが「Re:青春」だと考え、おっさんになろうがおばさんになろうが、「今」を生きることが「青春」だと気づかせてもらいました。

前置きはこれくらいにして、『ブラッシュアップライフ』になぞって考えていきましょう。

 

『ブラッシュアップライフ』あらすじ

1周目〜2周目「導入、徳を積む」

主人公の近藤麻美ことあーちんは、なっち、みーぽんとの親友3人組で過ごし、大人になってもしょっちゅう一緒にいました。この3人の会話劇も、『ブラッシュアップライフ』の大きな魅力の一つです。


平々凡々に学生生活を過ごし、市役所に就職。お昼は同僚と愚痴りながらの昼食。こんな普通の日々が続くと思って過ごしていたある日、車に轢かれて亡くなってしまいました。

冒頭に説明しましたが、徳が足りなかったことで人間に生まれ変われず、オオアリクイに生まれ変わりたくはないということで、徳を積むために人生2周目が始まりました。あーちんは2周目というアドバンテージを活かして、徳を積むことに取り組んでいきます。

保育園時代には、友達のレナちゃんの父親と先生の不倫を阻止することから始まり、日常的にゴミ拾いをしたり、できるだけ良いことをするように心がけました。


歌手を目指す友人の福ちゃんは、将来成功せずに離婚もすることを知っているので、歌手を目指すきっかけとなった成人式の同窓会で止めようとします。しかし、成功せずに離婚したことで、再婚相手との間に子供ができたことも知っていたので、その命を守るためにも、夢を追うことを止めませんでした。


中学時代に嫌いだった先生を大人になってから電車で見かけ、ばったりと会ったので友達と昔話をするためにこっそり盗撮していたら、偶然にも痴漢の冤罪から守ることとなりました。しかも先生は、結婚して子供が生まれる予定でもありました。


2周目は薬剤師になったことで、1周目に病気で亡くなったおじいちゃんに頻繁に会いに行くと、薬の飲み合わせが悪いことに気付き、おじいちゃんの病死を防ぐこともできました。
これらは、人生の徳積み必須イベントとして、2周目以降も取り組むようになります。

そんなふうに徳を積み、1周目で亡くなった日も乗り越えることができました。しかし、しばらくしてまた事故に遭い亡くなりました。

再び真っ白な世界に戻り、「油断したー!」と死を悔やみます。トボトボと窓口に向かい、今度の生まれ変わり先を聞くと、「インド太平洋のニジョウサバ」でした(笑)


頑張って徳を積んだはずなのに、今度はサバ(笑)。オオアリクイとサバ、どちらがいいのかはわかりませんが、ダメ元でもう一度やり直せるか聞いてみると、「できますよ~」っとあっさり。
あーちんは、3周目の人生を選びます。

 

3周目〜4周目「切なさ、虚しさ」

2周目で発生した徳得イベントは継続して続けながら、3周目はテレビ局に入社したあーちん。ドラマ好きと、60年以上生きた経験を生かし、今までの周回にはなかったイベントもありながら、順調に進んでいきます。
そして、プロデューサーとして自身の人生をモデルにした、『ブラッシュアップライフ』というドラマを制作することになりました。


売れない歌手になった福ちゃんも、あーちんがプロデューサーをしているということで、売れない歌手を続けながら役者志望となり、偶然もあってエキストラで出演することに(笑)。これは、生き方が変わると、他の人の人生にも影響を与えることを描いているように感じます。

初回放送を、親友3人組で観ようと帰宅する際、またも事故に遭い、ドラマを観ることなく亡くなってしまいます・・・

1、2周目は、33歳で亡くなりましたが、3周目は29歳と今までよりも若く、さすがのあーちんも、バカリさんに不満をぶつけます。あーちんは、30代に死ぬ確率が一番高い設定になっているそうだったので、納得がいきませんが「確率なんで」と言われ、どうしようもありません。せめて、ドラマだけでも見られないかと頼んでも、「見れないですね」とバッサリ。(この理屈だと、この世に幽霊はいないということになりますねw)
そして、三度目の生まれ変わりに案内されたのは、「北海道のムラサキウニ」でした。


オオアリクイ→ニジョウサバ→ムラサキウニと、グレードが上がっているのか下がっているのかよくわかりませんが(笑)、まだやり直しができるということで、人生4周目に突入しました。

3周目の死は、これからという期待も大きかったが故に、切なく胸も痛むようなものでした。そして4周目の人生は、並の徳では意味がないと、幼少の頃から勉学に励み、今までとは違う試みをします。その結果、この周回では、親友のなっち、みーぽんと仲良くなることができませんでした。あれだけお互いに解り合っていたのに、気を遣われ、よいしょされ、気まずい雰囲気になります。人生の歩み方を変えれば、関係性もこんなに変わるんだなと実感するし、簡単に人間関係は築けないんだなとも思います。


4周目の人生は、勉強を頑張った結果、小中高と学年トップで医大に入り、研究者の道を進みます。徳積みイベントもこなし、ノーベル賞を受賞するくらいの人類貢献に向けて研究を続けていると、33歳の壁を超え、35歳に。4周目にも入り、精神年齢はすでに130歳を超えていますが、ここで妹が結婚することに。


晴れ姿を見て、「長生きはするものだ」と、涙します。35歳にして長生きというのも、なんとも言えないものがあります。


また、4周目では今までにはなかった、宇野真里という同級生と仲良くなりました。1周目で、成績トップで生徒会長という優秀さから、「人生2周目説」が流れていた優等生です。奇しくもあーちんも、宇野真里を超えて学年トップとなり、生徒会長にもなったことで、4周目にして「人生2周目説」が囁かれました。そして、実はこの宇野真里も人生をやり直してるタイムリーパーで、7話の最後に「あなた何周目?」と、あーちんに尋ねて終わるのでした。

物語としては、まだ続きますし、どのような結末が描かれるのかは、ドラマを楽しみにしていただければと思いますし、このコラムは最終回予想を考察するものではありません。

ただ、ここまでの流れから感じたこと、今後こう描かれるのではないかということを、【道楽】的にみていきたいと思います。

 

徳を積むための人生??

近藤麻美は、不幸にも若くして亡くなりました。『ブラッシュアップライフ』はあくまでドラマなので、死後の世界や生まれ変わりなど、設定そのものをツッコミも否定もしません。あくまで、私個人があーちんの生き方を観て、どこか道楽的ではないと感じたので取り上げたくなったのです。

それが何かというと、「人生とは、徳を積む為に生きるものなのか?」ということです。

1周目は、もちろんそんなことを考えることもなく、ある意味自分らしく生きたのでしょう。平々凡々で、愚痴りながらも普通に仕事をして、親孝行をして、仲の良い親友とも楽しく過ごす。何か特別なことをしなくても、そういう人生として生きました。

仮に、生まれ変わり先が「オオアリクイ」として、それを受け入れて生まれ変わっていたら、ドラマも何もないですが(笑)、仮にあなたがオオアリクイに生まれ変わるか、もう一度人生をやり直せるなら、どちらを選びますか?
中にはオオアリクイを選ぶ方もいると思います。ナマケモノに生まれ変われるなら、私MAXなら即答でナマケモノを選びますが(笑)
でも、人生に悔いがあったり、もっとやりたいことがあったのなら、きっとやり直しを選ぶのではないでしょうか。

あーちんは、やり直しを選びましたが、その理由は、人生に悔いがあったわけでも、やりたいことがあったからでもありません。「オオアリクイに生まれ変わりたくない」から、徳を積んで人間に生まれ変わる為に、やり直しているのです。
ある意味において、自分の死を受け入れているんだなと感じますが、2周目からは、あーちんにとっては、「徳を積むのが目的の人生」になったのです。

 

人生の目的はなんなのか?

このドラマで描かれている違和感の一つが、ここにあります。

「人生とは何か?」

こんなことを語り出したら、話が尽きることはなく、おそらく答えはないでしょう。一人一人の答えも違うでしょうし、最終的には自分で答えを見出すしかないと、我々は考えています。

確かに、2度目以降の人生をやり直すことで、あらかじめ人生で何が起こるかがわかります。嫌なことを避けることもできるし、過去の経験も生かすこともできるでしょう。だから、出身地や学校は変えられないにしても、同じ仕事はしないし、やってみたい仕事も選べたわけです。

ただ、「徳を積む」ことが目的になってしまっていることもあって、保育園時代に不倫を防いだり、先生の痴漢冤罪を防いだりすることが「義務化」している感があります。確かに、一見不倫を防ぐことや、痴漢冤罪を防ぐことは良いことで、徳は積まれるかもしれません。しかし、本質的にそれは本当に良いことで徳が積まれることなのでしょうか?

不倫を防いだことで言えば、1周目では、友達のレナちゃんが突然転園してしまったと思っていて、2周目で、レナ父と先生が不倫したことが原因だったと気付きました。だからあーちんは、画策して不倫を防ぎ、大人になってからレナとも再会を果たしました。大人になったレナが、知らずに不倫していたというのも、皮肉めいています。
先生の痴漢冤罪を防いだことでいえば、偶然だったとはいえ2周目で助けることができ、先生には奥さんと生まれてくる子供がいることも知り、3、4周目でもそれが良いことで、徳が積まれるだろうからと、未然に防ぐよう画策しました。

不倫と痴漢冤罪、どちらもそうならない方が良かっただろうとは思います。しかし、だからと言って、その後レナや先生が不幸になっていったかどうかはわかりません。もしかしたら、別の幸せの道を進んでいたのかもしれません。

それがわかる一つのポイントが「福ちゃん」という存在です。

 

失敗したからといって、不幸になるわけではない

福ちゃんは歌手を目指し、同窓会で同級生たちの後押しもあって、売れない歌手になりました。同級生とも結婚しますが、その後歌手を諦め、離婚もします。だからあーちんは、そうならないように、2周目の同窓会で、福ちゃんに現実を突きつけて、諦めさせようとします。が、その先で、再婚して子供もいることを思い出し、ここで夢を諦めさせたら、生まれてくるはずの命がなくなってしまうことに気付き、結局何もしないことにしました。それも涙ながらに。


このシーン、コラムを書く為に見直してみたら、泣けてきました。失敗することがわかっているけど、その先に幸せが待っていることも知っている。言った方がいいのだろうけど、涙をこらえながら、言わないようにするあーちんの思いに、感動を覚えました。
結果福ちゃんは、1周目と同じく歌手で成功することはなく離婚し、再婚して子供ができました。2周目では、幸せな福ちゃんの姿を確認することもできました。


この福ちゃんの件と、不倫・痴漢冤罪阻止の違いはなんでしょうか?

それは、「その後を知っているか、知らないか」ということです。

あーちんは、レナ父が不倫したことで、その後のレナがどう生きているのかを知りません。
先生は、痴漢の冤罪によって教師を辞めたということは1話で明らかにはなっていましたが、その後どう生きているのかを知りません。
幸せで生きているのか、不幸になっているのかを知らないのです。しかし、福ちゃんに関しては、夢を諦め離婚もしたけど、その後に幸せが待っていることを知っていたから、止めませんでした。再婚と子供の存在を知らなければ、あーちんなら諦めさせていたかもしれません。ちなみに、2周目でレナ自身も不倫していたわけですが、相手が既婚者だということを知らず、たまたまあーちんの職場の先輩だったのでその事が発覚し、事実を伝えると即電話をして別れました。ブチ切れて別れるシーンは、名シーンです(笑)

「クソがっ!」

ちなみに、レナの不倫も、別れた後に「本当に時間のムダだった」というレナの思いを知ったので、3周目以降も、レナの不倫阻止が徳積みイベントに加わりました(笑)

要は、あくまで良し悪しは、あーちん個人の基準でしかなく、それが本当に良いことなのか、徳が積まれているかはわからないということです。

あーちんにとっては、レナ父の不倫や先生の痴漢冤罪は悪いことで不幸なことなのです。だから防ぐことが「良いこと」なわけですが、もしかしたらその人の人生において、不幸を経験した方が、後々より幸せになるかもしれません。そう考えると、助けたことで、幸せを奪っているかもしれないのです。【道楽舎】では「せいをおかげに」ということを理念の一つにしています。失敗しても成功すればいい。大成功するための失敗だったのなら、それは「せいをおかげに」するために、失敗する必要があったとも言えます。もっと言えば、別に成功しなくても「幸せ」になればそれで良いんです。

もしかしたら、あーちんがしたことは余計なことだったから、徳が積まれることがなく、望ましい生まれ変わり先ではなかったとも考えられますよね。

 

ギャンブル芸人にみる「徳の積み方」

「徳を積む」ということに関して、ギャンブル好きな芸人からも感じることがあります。

最近、「クズ芸人」と言われる、ギャンブル好きな芸人さんが人気ですが、彼はパチンコを打ちに行く際の心構えがあるそうです。それが、「徳を積む」ということなんだとか。当たりを引くために、ゴミやタバコを拾ってから、パチ屋に向かうのです。さらに、パチンコを打つのではなく、打たせていただくという感覚で打つそうです(笑)。
で、肝心の結果はというと・・・、お察しの通り、「クズ芸人」と呼ばれるだけあって、借金があったりマイナスだったりするようですね(^^;

ということはですよ?ゴミを拾ったりすることは、徳を積むことになっているのでしょうか?徳を積めば、ギャンブルの勝率は上がるのでしょうか?そもそも、「徳」とはなんでしょうか?

「徳」の意味を調べると、優れた品性、人格。神仏の加護。富、財産。天性の才能、などだそうです。一般的には、良い行いを続けていくことが「徳を積む」ということになると。

だからこそ、ギャンブルで勝つために、善行をして徳を積もうとしてるわけです。まあ理屈はわかります。でも、それで本当に「徳は積まれるのか?」と思うのです。だって、ギャンブルに勝つというのは、単なる自分の欲望ですよね。その欲望を満たすために良いことをして、本当に徳は積まれるのでしょうか?
ゴミを拾ったり人を助けたり、確かに良い行いではあるでしょう。「しない善よりする偽善」と言われるたりするので、しないよりはマシだと思います。でももし私が神様だったら、自分の欲の為に善行をした人に対して、大きな徳にはさせないでしょう。

映画『君の名は。』で、隕石から町の人々を守るために、三葉たちが懸命に奔走するシーンがあります。私はあのシーンがとても好きで、観るたびに感動して泣けてきます。誰に知られることなく、人々を守るために動きます。しかも、電波をジャックしたり、発電所を爆発させたりもして、自分たちが悪者になってでも助けようとします。これこそが「徳」と言えるのではないでしょうか?

このように、人に知られることなく良い行いをすることを「隠徳」といいます。あくまで私の主観にはなりますが、欲望に基づいた善行よりも、人知れず人や世界の役に立つことをしている方が、「徳」は積まれるのではないかと思うのです。

欲望の為に「徳」を積めたとして、仮に良いことがあれば、それは「報酬」になってしまうので、徳を積むための行動というよりも、報酬を得るための労働といえるのかもしれません。

 

【道楽】視点で見る、近藤麻美の人生

話を、『ブラッシュアップライフ』に戻しましょう。

人は必ずいつか死にます。ドラマでは、人間以外にも生まれ変わるという設定なので、生まれ変わりたくない生命もあるかもしれません。選べるものなら、望む生命を選びたいですよね。それはわかります。どれだけ「徳」を積めたかで、生まれ変わる生命が変わるのなら、徳を積みたい。それもわかります。

ただ、「徳」というものは、積もうとして積むのではなく、結果として積み上げられるものだと思うのです。

【道楽舎】では、散々「結果を目的にするな」と申し上げております。なぜなら【道楽】とは、「道中を楽しむ」というものだからです。

『ブラッシュアップライフ』において、あーちんの2周目以降というのは、オオアリクイやサバ、ウニに生まれ変わりたくないから、「徳を積む」ことを目的とした人生を生きています。それはつまり、【結果】を求めた人生だから、【道楽】が抜けているのです。徳を積めないことはダメなことで、良いことをしなければいけないと、かえって窮屈な人生になっているように感じます。

特に4周目では、より大きな徳を積む為に勉学に励んだことで、親友と仲良くなれませんでした。大切な親友を失ってまで、人生の楽しみを失ってまで、徳を積んだ方が良いのでしょうか?
特に、4周目が始まってからの視聴者の感想は、「親友3人組が見れなくなって寂しい」とか、「結局1周目が一番幸せなんじゃないか?」といった感想を目にします。自分のことではないしファンタジー要素もあるのでなんとも言えませんが、客観的に見たらあーちんの生き方は、何か不自然でおかしいように見えると思います。メタ(俯瞰)視点で観たら、2回目以降のあーちんにとっての人生の価値は、「どれだけ徳を積めたか」になってしまい、「どれだけ幸せだったか」ではないのです。

もしかしたら、オオアリクイやサバに生まれ変わっても、そんなに悪いものではないかもしれません。人間の感覚で考えればキツイですが、生まれ変われば、人間の記憶も感覚もないはずですから。もしかしたら、ドロドロした人間社会よりもよっぽど自由に幸せに暮らせるかもしれません。かつて『私は貝になりたい』という映画もありましたしね。

人それぞれ幸せは違います。あーちんを否定することはできませんが、結果に捉われて、【道楽】の視点をなくして生きては、少なくとも幸せな人生ではなくなるのではないかと思うのです。

 

徳を積む為に生きるのではなく、結果的に徳が積まれる生き方をしよう

本コラムのまとめになりますが、『ブラッシュアップライフ』がどのような結末を描くのかはわかりません。ただ、なんとなくですが、どこか【道楽】に通じるものが描かれるような気がしています。徳を積む為に、タイムリープして人生をやり直してきたけど、結局大切なものが何なのかに気付き、近藤麻美としての最後の人生を生きるのではないかと。(あ、ちなみに、人生のやり直しには、限度があるそうで、それが何回かは教えてもらえませんw)

どういう結末になるかはわかりませんが、それも楽しみにしています。結末はどうであれ、忘れてはいけないのは、仮に人生をやり直しできるとしても、やり直しをあてにした人生では、今の人生が幸せで、納得できる、満足するものにはならないのではないでしょうか。

我々は、「道中を楽しむ道楽家」として、イマココに生き、一生青春という感覚で生きています。我々の人生が、誰かにとってどんなものになるかはわかりません。もちろん誰かの役に立てれば嬉しいですが、誰かの為に自分を犠牲にして生きるより、自分が納得する人生を生きて、その結果、誰かを幸せにしていけたらいいなと思います。それこそが、本当の意味での「徳」になるのではないでしょうか。

『ブラッシュアップライフ』は、今期一番おすすめの作品です。バカリズムさん脚本なだけに、笑いがあるのはもちろん、色々と考えさせられるような内容でもあります。こうやってコラムができてしまうくらいですからね。^_^

きっと、人それぞれ感じることは違うでしょうし、気付く所も違うのではないでしょうか。「こんな発見があった」とシェアしていただける方は、ぜひコメントをお待ちしています(^^)

ドラマでは、人生をやり直すことで、人生をブラッシュアップしていくというものではありますが、道楽舎は、ドラマでもアニメでも現実でも、様々なことと向き合って【道楽】をブラッシュアップしていきたいと思います。

 

 

ABOUTこの記事をかいた人

道中を楽しむ道楽家として人生を謳歌し、自分にしか出せない価値を生み出す! そのためのきっかけ・環境をつくるのが`道楽舎` 思うがまま自由に、本当の自分で生きていく。 道中に転がる大切なものを見つけ、欲しいものも手に入れよう!