本当の感動は、道中にしかない「だが、情熱はある」 with ちゃんねるトッシー

本当の感動は、道中にしかない「だが、情熱はある」 with ちゃんねるトッシー

 

前回のコラムからしばらく開いてしまい、いよいよ「脱・二項対立」シリーズの後編をお届けする予定でしたが、前回のコラム同様、あまりの感動により、急遽コラムにすることといたしました(^^;

大人気ドラマ『ブラッシュアップライフ』から読み取る「人生の目的」「徳を積むこと」とは?

今回取り上げた題材は、タイトルにもある通り、南海キャンディーズの山ちゃんと、オードリー若林さん二人の歴史を描いたドラマ、『だが、情熱はある』です。奇しくも、前回コラムで取り上げた『ブラッシュアップライフ』も日テレの日曜22:30枠のドラマということでした。我々は決して日テレの回し者ではございませんが(笑)ただ、この枠のドラマは何かと話題を呼ぶことが多いのも注目されています。前回のドラマはバカリズムさんが脚本を務め、今回のドラマは芸人の人生を描いたドラマということで、芸人の出演も多く、通常のドラマとは一味違う仕上がりなのかもしれません。また、山ちゃんと若林さん他、役者さんの再現性がとても高く、演技も話題になっていて、クオリティが高いことでも話題になっています。

【道楽舎】では前々からコメディは物語にて最強!と考えており、我々の人生も「喜劇(コメディ)」にしたいと思い生きております。以前は、『コントが始まる』というドラマを取り上げたコラムを配信しましたが、今回のコラムでもコメディの面白さや魅力をお伝えしていきたいと思っています。

『コントが始まる』 「人生はコメディ」を描いた傑作の道楽ドラマ!第9話の隠されたメッセージに号泣

 

『だが、情熱はある』ストーリー

芸人を目指す原点

それでは、このドラマのストーリーに沿って、道楽ポイントを述べてまいります。
このドラマは、誰もが知っている南海キャンディーズの山里さんと、オードリーの若林さんがどのような人生を歩み、いかにして芸人として売れたかを描いています。しかし、これはサクセスストーリーではないそうです。
ナレーションは、以前からお二人と親交のある水卜アナウンサーが務めており、ドラマの冒頭には毎回決まったナレーションがあるのですが、その言葉を借りると…

「これは、二人の物語。しかし断っておくが、友情物語ではないし、サクセスストーリーでもない。そしてほとんどの人において、全く参考にはならない。だが、情熱はある」

というものです。確かに、サクセスストーリーではないのかもしれません。しかし、二人は売れており、売れたからこそドラマにもなっています。以前取り上げた『コントが始まる』というドラマは、売れない芸人が売れないまま解散するという、日の目を見ることのなかった芸人のドラマではありますが、どちらの作品にも共通しているところがあり、それこそが【道楽】なのです。

話をあらすじに戻します(笑)。

二人は全く違う道を歩み、2009年に「たりないふたり」という番組を持つことで、交わることとなります。一つ上の山ちゃんは、幼い頃から妬み嫉みに塗れた人間で、いかにして注目を浴びるか、モテるかを考えて生きていきます。友達から「時々面白い」と言われたことがきっかけで、モテる為の手段が「お笑い」でした。

一方若林さんは、幼少の頃に病気と診断され、父親からは「感情を出したら死ぬぞ」と言われ続けたことで、後に「人見知り芸人」と言われるような、おとなしく引きこもった性格でした。相方の春日とは同級生で、学園祭の時に、そんなおとなしい若林さんのことを「若林は面白い」と言ってくれたことがあり、やりたいこともなりたいこともない中で、春日さんを誘ってお笑いコンビ「ナイスミドル」を結成しました。

 

親の呪縛

ここで、ちょっと若林さんについて掘り下げたいことがあるので脱線します。
若林さんはテレビに出始めた頃、人見知り芸人と言われていましたが、子供の頃に、医者から「心臓に疾患があるから、感情を出させてはいけない」と診断され、父親はことあるごとに「感情出したら死ぬぞ!」と言い続けたのだそうです。その医者は、後にヤブ医者だったことがわかりますが、幼少期に親から口酸っぱく言われたことで、若林さんはその後もあまり感情を出さなくなったそうで、引っ込み思案の人見知りになったようです。

しかし、今ではそこまで人見知りというほどではないそうですが、幼少期の親の言葉というのは「呪縛」となって強く残るんだなと実感します。私MAX自身も、色々と思い当たる節はあり、後々乗り越えたり、まだ心のどこかで縛られているものも少なからずあるかと思いますが、若林さんエピソードを知って、親によって無意識に呪縛を受けている自分自身と向き合ってみるのも良い機会になるかもしれません。

 

高校卒業後

若林さんの父親は、仕事の続かない人で、母親からは父親のようにならないために良い大学に進学してほしいと言われますが、そんな親の姿を見てきたことで、親に従うのではなく、我が道を進もうと春日を説得してお笑いの道を進みます。とはいえ、とりあえずは大学の夜間部に進みます。しかし、何をしていいか分からず、悶々とした日を過ごします。

山ちゃんは、元々薬剤師を目指していましたが、好きな女子の「面白い人が好き」という言葉と友人の「山ちゃんってたまに面白いよね」という言葉で、お笑い芸人を目指すことにします。「お笑いといえば大阪」ということで、とりあえず千葉から大阪の大学に進学することにし、寮に入ります。そこでの先輩とのやりとりもめっちゃ感動的で、今ならまだTVerでも見られるのでぜひ見ていただきたいくらいです。『ブラッシュアップライフ』を観ていた方ならわかりますが、「粉雪の加藤」がその先輩として出演しており、前回では笑わされ、今回は泣かされました。

粉雪の加藤(ブラッシュアップライフ)

寮の先輩(だが、情熱はある)

妬みやっかみ見栄っ張りの山ちゃんですが、この先輩がとても面倒見が良く、夢から逃げて大学生活を謳歌する山ちゃんの本音を引き出し、背中を押したことで、山ちゃんはNSC(よしもとお笑い養成所)に申し込むことになったのです。この先輩がいなければ、芸人山里は生まれなかったかもしれません。

同じ時期に若林さんも、お笑い事務所のオーディションを受け、合格したことで、今のケイダッシュステージに所属することになり、曲がりなりにも芸人人生をスタートさせます。(年齢は山ちゃんが一つ上ですが、芸人としては同期ということになるそうです。)

 

迷走する下積み時代

先輩のおかげでNSCに入った山ちゃん。大阪のお笑い魂の前に怯みながらも、お笑いのてっぺんを目指し、情熱だけはあります。まずは「侍パンチ」というコンビを組みますが、うまくいかず解散。次に「足軽エンペラー」というコンビを組み、『ガチンコ!』という番組の「お笑い道」のオーディションに合格し、企画内の大会で見事優勝。しかし、中々仕事が増えず、その焦りが山ちゃんの悪い部分を出し、相方に強く当たってしまう。それによりコンビ仲は悪化し、「ぶち殺すぞ!」と解散することに。

その後は、忘れられないためだけに、「イタリア人」というピン芸人になり、滑り続ける日々…。山ちゃん自身も、「その日々は地獄だった」と述べています。そんな中、今の相方である静ちゃんと出会い、コンビを組んでもらうために奔走します。今までは、自分の為の相方を探していた山ちゃんですが、初めて「相手のための自分」という視点を持ち、なんとかコンビを組むことができ、南海キャンディーズが誕生しました。

若林さんはというと、クレープ屋でのステージや、ものまねパブ「新宿キサラ」での前説など、細々と仕事をするも、とても芸人だけでは食っていけません。クレープ屋のステージでは、なぜか毎回来てくれる女性ファンがいて、この存在が、若林さんを支えることとなり、時として苦しめることにもなります。全く売れない時期を5年過ごし、若林さんは何度も芸人引退を考えていました。『エンタの神様』のオーディションにも合格し、収録したものの結局放送されることはなく、ついに辞めようかと、春日に相談します。春日は全て若林さん任せで、自分では何も判断しません。というのも、春日にとっての芸人生活は、楽しくて仕方なかったからです。

「不幸じゃなきゃ努力ってできないんですかね?」という言葉は、現代社会にとても刺さるようにも感じます。ですが、自分は辛いのに、何も考えず、幸せそうな春日の態度も気に食わず、若林さんは怒りをぶつけます。

「お前が辞めたいって言ってくれたら辞めれんだけどなぁ」
「辞めれるけど俺が辞めるって決めたことになんのが嫌なんだよ」
「辞めるのも俺が決めなきゃいけねえのかよ!お前が、限界です辞めたいですって言ってくれたら辞めれんだよ!」
「僕はまだ頑張れたんですけど相方が限界なので解散しますって言わせてくれよ!」

それでも春日は、「アタシは任せるとしか」と答えるだけ。自分から辞めるとは言い出せず、解散は免れます。それをきっかけに、「ナイスミドル」から「オードリー」に改名することとなり、心機一転スタートします。

 

醜い叫びこそ、心の本音

この若林さんの心の叫びは、中々言えない言葉だし認めたくない本音なのではないかと思います。こういう本音を言えたからこそ、言える相手がいたからこそ、受け止められる春日だったからこそ、今のオードリーがあったわけですね。山ちゃんもそうですが、みっともない姿を見せたくない、自分は天才だと思いたいというような理想は、誰でも持つものだと思います。認められないから向き合わなかったり、取り繕ったり、誤魔化したりすることもあると思います。ですが、そんなものは所詮いっ時のものでしかなく、山ちゃんにしても向き合えない時期は、解散を重ねてきました。やっと自分と向き合えたことで、南海キャンディーズとして後々M-1準優勝することもできたわけです。まぁ、努力が認められたことで、また拗らせてしまうわけですが…(^^;。
若林さんにしても、本音を吐き出せていなければ、うつ病とか何かしらの病気になったり、色んなことから逃げ続ける人生だったかもしれません。
負けようが挫折しようが、それはその時だけのものであって、その現実を受け入れ、認めない限り、負け続けることになるのかもしれません。負けを認めてしまえば、案外気が楽になるものです。そもそも、勝ち負けなんてあってないようなものなのに、そう思わされてしまうのも、「二項対立の罠」ということですね。

 

南海キャンディーズ、衝撃のM-1準優勝!

南海キャンディーズが誕生したものの、最初は中々うまくいきません。山ちゃんも静ちゃんも、元々組んでいたコンビでも有名で、その才能は買われていました。しかし、中々ウケない。ネタは山ちゃんが全部書いているのですが、ネタを考えているプライドと、モテたい欲によって、目立つために自分がボケのネタを考えていたのです。しかし、ある時気がつきます。静ちゃんが自分には持っていない才能を持っている天才だと。それも中々認められないのですが、たまたまつっこんだことを、好きだった女性が「面白い」と言って笑ってくれたことで、自分がツッコミのネタを作るようになります。本当は、自分がツッコミの方がいいことはわかっていたのです。しかし、プライドと欲によって、静ちゃんは天才で、自分は天才ではないということを認められなかったのです。新たなネタを静ちゃんに見せ、「俺は天才じゃなくていい」と伝えると、静ちゃんは「私は山ちゃんのこと天才やと思ってるよ」と返します。そう思い合えたからこそ、南海キャンディーズはうまくいったのでしょう。

しかし、ネタが認められるまでは時間がかかります。路上ライブをしたり、仕事も中々もらえない。吉本の社員に直談判しても、目の敵のように冷たくされます。どんなにウケてもその社員だけは評価が低く、認めてもらえません。その社員は、山ちゃんにとって見返すためのエネルギーにもなるのですが、徹底的にネタを研究し、磨きをかけ、ついにやってきた2004年のM-1グランプリ。コンビ結成1年にして初出場で準優勝し、一気にブレイクすることに。当時、リアタイで見ていましたが、南海キャンディーズの登場は衝撃的でした。

「すぐ飽きられる」と冷たくしてきた社員にも、「僕たち、まだ飽きられてなかったみたいです」と言い放ってリベンジ完了。その後も、仕事を振られても断るようにして、仕返しをしたそうです(笑)。

 

理想と現実という「二項対立」

若林さんの本音の叫びについて触れたので、山ちゃんの本音にも触れないわけにはいきません。
山ちゃんは、特にプライドが高く理想を負いがちです。モテたい、自分は天才という理想や欲が人一倍強いから、そうではなく満たされていない現実が、妬みやっかみを強く生み出しています。過去に解散したコンビの時も、それが外に向かえば相方への攻撃となりました。山ちゃんが言うことは間違ってはいないし、あまりの熱意に相方も耐えますが、限度を超えると爆発するものです。その経験があったから、離したくない才能を持つ静ちゃんに対しては、相手を変えようとするのではなく、自分が変わりました。そして、受け入れ難い現実と向き合って、静ちゃんは天才で、自分は天才ではないと、拳を握りしめながらも認める。私はその姿に感動しました。その後、M-1を準優勝するに至ったネタも生まれました。

散々「二項対立」について触れていますが、「理想と現実」も一つの「二項対立」です。世の中は、何かと理想的なものを見させて「憧れ」させます。『BLEACH』という作品に、こんな名言があります。

「憧れは、理解から最も遠い感情だよ」

これは、名言クリエイターである藍染惣右介というボスキャラのセリフですが、とても深く的を射ている名言だと思っています。芸能界でもスポーツ界でもなんでもそうですが、活躍してキラキラしてモテる姿、売れていて高収入を得ている姿などを見せつけて、こういうのが成功なんだ、素晴らしいんだと「憧れ」させます。一見理想的なものに上手に誘導して、本当は向き合わなければならない現実から目を背けるようにしているのです。

 

現実から目を背けさせられる危険性

某テーマパークなどでも、非日常的な世界で現実を忘れさせて楽しむようにしています。これも、現実を見ないように仕向けていると言えますが、テーマパークに好んで行く方の意見としては、「そうでもしなきゃやってられない!」という思いもあるそうです。つまり、それだけ現実が苦しくて大変だということでしょう。厳しい現実を乗り越えるために、スポーツ観戦したり、ライブに行ったり、テーマパークに行ったりもするとは思いますが、そもそも、厳しい現実を乗り越えることが人生の目的なのでしょうか?確かに、現実は厳しいものだと思います。『進撃の巨人』的に言えば、「世界は残酷」なのかもしれません。ただ、現実は厳しいものだとして、乗り越えた先に何があるのでしょうか?乗り越えたところで、また新たな厳しい現実が続いているだけではないでしょうか。大変な今を乗り越える為には、理想が必要なのかもしれません。ただ、理想だけを見せて現実を見ないように仕向けられているとしたら、まんまと「二項対立の罠」にハマっているとも言えます。

しかし、山ちゃんが一つの答えを見せてくれました。自分は天才という理想を捨て、現実を受け入れたことで、M-1準優勝という結果を手に入れたのです。現実を受け入れたどころか、むしろ自虐的なネタにしていますが、自虐ネタにするのも、プライドが高い山ちゃんなので、相当な覚悟だったんじゃないかと思います。ドラマの中でも、「足りないところが面白くなるって、すごい事じゃない?」と言われるシーンがあります。これこそ、コメディの真髄だと思います。しかし、その為には、自分の足りない部分と向き合い、受け入れなければなりません。人は誰でも、ないものねだりをしてしまうものだし、理想を求めてしまいます。
面白いことに山ちゃんも、理想を手放したことで、結果的にM-1決勝という一つの理想を手にすることができたのです。

これはとても重要なポイントだと思います。良い部分ばかり見ては、本当に大事なものが見えなくなるものです。見たくないものの中にこそ、本当に大事なものがあるのではないかと、山ちゃんを見て強く感じました。

 

見せられた理想は本当に理想的なのか?

ただ、一つだけ注意することがあります。現実を受け入れたことで理想を手にしたと述べましたが、売れっ子になった山ちゃんは、思い描いていた理想とは違う現実が待っていたのです。
M-1を準優勝してブレイクしたことで、南海キャンディーズは一気に忙しくなります。天才静ちゃんばかりが目立ち、山ちゃんは「じゃない方芸人」扱い。ネタを書いているのは自分なのに、自分のおかげでM-1準優勝できたはずなのに、注目されるのは静ちゃんばかり。もっと人気になるはずだったのに、望んでいた理想とは違う現実が待ち受けていたのです。確かに、忙しくて芸人として仕事ができています。芸人としては、成功していると言えるし、形としては理想を実現させたと言えるでしょう。ですが、実態というか、状態としての理想は実現できていないのです。つまり、静ちゃんよりもチヤホヤされておらず、評価されていないということです。

形としての理想は、芸人として売れて有名になるというものでしょうけど、山ちゃんの望む理想は、そうではないということです。だから山ちゃんは、理想を実現させたのに幸せではなく、自分のことを認めない周りを敵視してしまって苦しんだわけです。

一般的にも、「こうあることが理想」だと、形としての理想を押し付けられているのではないでしょうか。望む就職先に決まることが幸せでしょうか?結婚することが幸せでしょうか?必ずしも希望の会社に就職したり、好条件の相手と結婚したから幸せになるわけではありません。自分が理想だと思っているものが、自分の本心からくるもので、自分の幸せにつながるものなのか。はたまた、人に言われたり押し付けられた理想なのか。山ちゃんの姿を見て、自身の理想や幸せは果たしてどうなのか??を考える機会になるかもしれないですね。

 

オードリー、感動のM-1準優勝!!

本筋に戻りまして、オードリーサイド。
鳴かず飛ばずのオードリーですが、新たな挑戦として、トーク力を磨く為にも「小声トーク」というトークイベントを開催することにします。お金もなく、場所は春日が住む、むつみ荘(笑)。

キャパも10人が限度で、10人を相手にしたトークイベントを1年間続けます。そんな中、売れない芸人のエピソードトークを話すというラジオ番組のオーディションが入ります。春日は受けず、若林さんだけオーディションを受けます。そこで話したのは、自分の不幸話。売れてないので、葛藤しているエピソードを話すと、「君ね、面白いよ」と言われ、見事合格。若林さんは、手応えを感じます。

春日宅でのトークイベントでも、オードリーを代表する「ズレ漫才」が生まれることとなり、オードリーにとっての漫才の形を見つけた若林さんは「これでいける!」と確信を持ちます。(ちなみに、ドラマ放送では、山ちゃんがリアタイでツイートしているのですが、「自分の漫才を見つけた時の嬉しさってとんでもないからね」と言っています)

2007年、意気揚々とM-1に挑戦するも、まさかの2回戦敗退。若林さんの自信は粉々に打ち砕かれます。「俺は面白くないんだよ」と絶望し、ずっとファンでいて支えてくれていた彼女の優しさも、逆効果になってしまうほど落ち込みます。

そんな中で、M-1審査員を務めていた渡辺リーダー主催イベントオーディションに参加し、ボロボロに言われるつもりで臨むと、「いいね。面白いよ。M-1狙えるよ」と、予想外の高評価を受け、その帰り道、若林さんは号泣します。

かく言う私も号泣しました。ドラマとはいえ、若林さんがどれだけ苦しんできたかを少なからず知ったうえで、報われた瞬間を知ることができたからです。

そして迎えた2008年のM-1グランプリ。準決勝で敗退してしまうも、敗者復活戦に挑戦。同じ場に南海キャンディーズもいて、ついに同じ土俵に立つわけですが、静ちゃんが忙しく、コンビとしての活動があまりできていないこともあり、敗者復活には選ばれませんでした。見事敗者復活に選ばれたその瞬間、わかっているのに鳥肌が立ち、涙が出てきてしまいます。なんだかんだ言いながらも見守ってきた若林家も、テレビにかじりつくように観て喜び、悔しさを隠さない山ちゃん。

沸き上がる会場はオードリーコールが鳴り響き送り出します。そして、会場にはずっとファンでいた彼女も観に来ていて、「面白かったです」と車越しに伝えます。

山ちゃんはあまりの悔しさにコールしなかったそう(笑)。そして、「来年はストレートで決勝行くよ」と静ちゃんに話し、実際に翌年のM-1では決勝に進出しました。「山ちゃんのこと嫌い」と正直に言う静ちゃんですが、自分を一番面白くしてくれる存在として認めており、この敗戦が、ブレイク後バラバラに活動していて二人と、マネージャーを含めたの三人の絆が深まったようにも思います。そして、後に山ちゃんは、それからしばらくしてからやっと「漫才って楽しい」と思えるようになったそうです。

彼女の思いも背負って、M-1の舞台に立ったオードリー。一本目のネタは、なんと1位になります。ファイナルでは、2票を得るも、NON-STYLEが5票を獲得し、準優勝。石田さんの涙も感動でしたが、一番の衝撃を残したのは、間違いなくオードリーだったでしょう。ちなみに、オードリーに自信を与えた渡辺リーダーは、ちゃっかりNON-STYLEに投票しています(笑)。そこはガチでした(^^;。ですが、一本目では、オードリーの方に高得点を付けていたのでした。

 

神回の第9話

ここまでが最新話(9話)までに描かれた内容ですが、南海キャンディーズが先に売れ、遅れてM-1準優勝をしたオードリー。どちらも苦労を重ね、やっと報われたわけですが、特にオードリーがM-1準優勝を決めた第9話は、感動の号泣回でした。
面白いはずなのに、なぜか泣けてしまう。改めてM-1グランプリも見直してみましたが、それまでの背景を知ったことで、ただ漫才を見るのではなく、オードリーの物語として見えてしまうのです。本人は、そんな風に見て欲しいわけではないでしょうけどね(^^;

冒頭に、「コメディは物語にて最強」と述べましたが、まさにこういうことだと思います。時に間違えたり、失敗したり、苦労したり、辛いこともあるでしょう。それがどれだけ長いのか、苦しいのかは人それぞれ違います。でも、それが報われた瞬間の感動というものは計り知れません。

つまり、本当の感動は「道中にしかない」ということです。

 

本当の感動は、道中にしかない

南海キャンディーズが出場したM-1も、オードリーが出場したM-1も、どちらも観ました。どちらも面白く、衝撃を受けましたが、このドラマを観てから改めて観たM-1は、全く違うものでした。その違いは、それぞれの道中を知ったからです。きっと、出場するどの芸人にもそれぞれ物語があり、懸けているものがあると思います。ここ数年では『M-1アナザーストーリー』というドキュメント番組も放送されていますが、本当に人生を懸けて望んでいることがよくわかります。

南海キャンディーズもオードリーも、優勝はできせんでしたが、「準優勝の方が売れる」という定説を作ったとも言われるくらいのブレイクを果たしました。準優勝ではあっても、結果を出せたことは本当に感動しました。

「結果」というものは、目に見える形だと言えます。「結果」が出ることで、誰しもに認められるし、自分自身も認めることができます。どんなに面白くても、頑張っても、結果が出なければ報われないかもしれません。しかし、敢えて言います。本当の感動は、道中にしかないと。

結果が出ず、報われなくても、感動することはあります。それが、『コントが始まる』というドラマで描いていたものだと思っていますが、結果が出なくたって、幸せに生きることはできるし、自分の望む形ではなくても、後々報われることはあります【道楽舎】では、「せいをおかげに」という考え方を理念の一つにしていますが、うまくいかなくたって、失敗したって、それがあったから幸せな今があるのなら、「せいをおかげに」できるわけです。

山ちゃんの例で述べましたが、理想が叶ったって、幸せになるとは限りません。うまくいったからって、後々不幸になることだってあります。何が正しいか、何が理想かなんて人それぞれ違うし、他人が決めるものではありません。結果だけを求めてしまっても、その道中に大事な中身が抜けてしまうので、幸せが伴わないということなのでしょうね。自分にとっての理想や答えは、自分の中にしかないし、いくらでも書き換えればいいと思います。

 

喜多バグジの「ちゃんねるトッシー」も、道中真っ只中!!

ちょっとお知らせでもあるのですが、メンバーの喜多バグジは現在、婚活真っ最中です!仮想通貨のチャンネルも運営していますが、新たに婚活チャンネルとして、「ちゃんねるトッシー」も始めました!結婚相談所に登録したり、街コンに行ったりバチェラーデートなど、色んな婚活をしていて、婚活のリアルを、面白おかしく動画にして配信しています。

今の所、無敗ならぬ「無勝」ではあるのですが(笑)、私MAXとしては、『だが、情熱はある』を観ていて、「ちゃんねるトッシー」にとてつもなくシンパシーを感じているのです。

色々やりとりをしている中で、応援したり、時にはアドバイスをしていますが、中々うまくはいかないようです。そして喜多を見ていると、どことなく山ちゃんに似ているところがあると思えます(笑)。タイプも似てるんじゃないかなと思っていて、妬みやっかみをエネルギーにしていた山ちゃんですが、喜多もよく、「今に見ていろ!」と言っていたり、失敗をエネルギーに変えるところがあります。「ちゃんねるトッシー」も、自分をネタにしたエンタメでもあるのですが、ある種の自虐ネタでもあるんですよね。何せ、うまくいかないことの方がネタとしてはオイシイですから(笑)

ただ、喜多自身が今精力的に活動していて、婚活もそうですが、チャンネル登録の為に、直営業もしているんですよ(笑)。先日、久々に【道楽舎】で集まる機会がありまして、新宿に行ったのですが、喜多は歌舞伎町でチャンネル登録をしてもらう為に、「ちゃんねるトッシー」の名刺を配ったんです。その模様はまた配信される予定ですが、それから地元でも定期的に名刺配りをしていて、地道にチャンネル登録に繋げているんです。

(この顔とTシャツを見たら要注意!ではなく、名刺を受け取ってね!!)

婚活にもかなりお金をかけていますが、「ちゃんねるトッシー」の為にも、時間と労力をかなり懸けています。側から見てる人からは、「何のためにやってんの?」「もっとこうすればいいのに」「バカじゃないの?」という声もあるそうです(笑)。確かに普通に考えたら、無駄なことをやっているかもしれません。
それでも、諦めずに頑張っている喜多。現在最新で配信されている動画では、身銭を切って、劇的に返信するビフォーアフターな神回なんですよ。

ですが、『だが、情熱はある』を観ていると、山ちゃんや若林さんの姿にかぶるんですよ。M-1準優勝という結果を出し、売れたからこそドラマにもなって、過去の苦労を知ることになりましたが、「ちゃんねるトッシー」も、いずれ人気チャンネルになったり結果が出た時には、計り知れない感動が待っているんです。言ってみれば、リアルタイムで「ちゃんねるトッシー」の物語を見ている、いや、参加しているのです!

『だが、情熱はある』を観て感動はしますが、誰よりも感動しているのは、他ではない本人なのではないでしょうか。実際に経験した本人以上に、感動を実感することはないはずです。

安易に、「努力は報われるよ」なんていうつもりはありません。ただ、自分の望む形ではなくても報われることはあるし、努力が無駄になるかならないかっていうのは、最終的には自分次第です。私自身、何度も人生をリセットしているので、その度に0からリスタートさせているのですが、それまでの努力が無駄だったとは全く思っていません。その道を通ったことで、今の道に至ることができたと思っているからです。得た知識や経験が、直接役に立つかは別にしても、自分の思いもよらない形で役に立つことがあるものです。このあたりは、ぜひ『コントが始まる』のコラムもチェックしてみてくださいね。

『コントが始まる』感動の最終話!人生はコントだ!さようならマクベス

 

まとめ

『だが、情熱はある』という作品は、友情物語でもサクセスストーリーでもないかもしれません。ですが、【道楽舎】の理念でもある「道中を楽しむ」ということを描いている作品だと思います。
(最後になりますが、気付いた方もいるかと思いますが、春日さんのことは、敢えて「春日」と呼ばせていただきました。ドラマを見た方ならお分かりいただけると思いますが、やっぱり春日は「春日」なんですよ(笑)。敬意を込めて、敢えて敬称を略させていただきました)

結果は確かに大事です。理想を持つことも大事です。しかし、それだけが大事なのではなく、ゴールに至るまでの道中にこそ、真に向き合うべきことがあり、感動があるということを、目に見えて教えてくれているのが、このドラマだと思います。

最速で結果だけを出したり、簡単に偉業を達成しても、大きな感動はないのではないでしょうか。過程だけが大事だとは言いませんが、過程=道中なくして、本当の感動はない、ということは明言できます。

『コントが始まる』『ブラッシュアップライフ』『だが、情熱はある』と、奇しくも日テレドラマを取り上げましたが、共通しているポイントは、「どんな道中を歩むか」ということではないかと思います。
人に認められるために結果を出すのか。自分が幸せでいられるために結果を出すのか。それは、どのような道中を歩むかにかかっていると思います。そして、道中を楽しんだ先には、自分が本心から望む本物の理想(自分の在り方)が待っている。そして、結果が出ても出なくても、道中を楽しむことができれば、必ず幸せはついてきます。そのためにも、自分の本心・本音としっかりと向き合って、誰かや何かの都合の良い理想に振り回されず、自分にとっての理想や幸せを追求して行くようにしたいものですね。

そして、ぜひ!「ちゃんねるトッシー」のチャンネル登録をお願いします!共に応援して、道中を共にしたからこそ味わえる感動を一緒に味わっちゃいましょう!!

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