スラムダンク × 道楽② 山王戦から学ぶ「せいをおかげに」(前半)

スラムダンク × 道楽② 山王戦から学ぶ「せいをおかげに」(前半)

 

前回は、全国大会出場をかけた陵南戦から見えた「道楽」について述べました。

スラムダンク × 道楽① 陵南戦から学ぶ、屈辱と役割の意味

屈辱を受けることや役割の持つ意味など、「道楽」の観点で見えてきたものを述べております。

今回は、『スラムダンク』でも最後の試合となった、最強・山王工業戦を振り返りながら、桜木花道の注目すべき「道楽」について、考察してまいります!

山王戦は、『スラムダンク』で描かれた最後の試合となりました。というのも、作者の井上雄彦先生が「これ以上の試合は書けない」と言うほどの内容だったからです。そんな熱い試合ということで、コラムにかける熱量も倍増してしまいました(笑)

ということで、試合のように、前後半に分けてじっくりとお送りしたいと思います。

 

激戦の山王戦

試練の後半

神奈川のリバウンド王として、大きな成長を遂げた桜木花道。全国大会初出場を果たし、初戦を見事突破。二回戦は、まさかの優勝候補・山王工業。赤木がバスケを始めたきっかけにもなった高校でもあります。歴代でも、最強と呼び声高く、会場にも湘北が勝つと思う人はいなかったでしょう。

前半こそ、どうにか互角に渡り合い、リードして折り返しました。それは大健闘だったと言えます。しかし後半に入り、山王は一気に勝負を畳み掛けてくる。わずか数分で20点差。湘北は最大の逆境に置かれ、チームは諦めムード。桜木は、ポール(野辺)を相手にリバウンドが取れず、宮城のスピードも、深津に攻略され、三井は前半のマークで慰労困憊。大黒柱の赤木でさえ、河田に為す術もなく、見守る周囲の応援団さえも諦めかけていた…

 

湘北を「がけっぷち」に追い込む桜木花道

最強相手に、24点差を覆すなんて、考えられないしありえない。会場はもちろん、赤木でさえ、そう思っていました。桜木はベンチに戻され、安西先生まで諦めたと思っていると、「白髪鬼」の顔を見せる安西。

「私だけかね?まだ勝てると思っているのは」

そう言うと、逆転するには、桜木のリバウンドが必要だろいうことを気付かせる。桜木は、逆転の為の切り札として、チーム全員の思いを背負ってコートに戻る。安西先生の、あの言葉と共に。

「諦めたら、そこで試合終了ですよ…?」

チーム全員の思いを受け取り、桜木がコート入ると、とんでもないことをします。まずは、満身創痍のゴリにカンチョウをかまします(笑)

そして、解説席に飛び乗り、会場に宣言する。

「ヤマオーはオレが倒す!! by天才・桜木!!」

ゴリが謝ってギリギリ許された桜木だったが、チームにこう言います。

「これで勝つしかなくなったぜ」

それでもチームの暗い表情は変わらない。

「おめーらのバスケかぶれの常識は、オレには通用しねえ!!
シロートだからよ!!」

これまで、「天才!」と言い続けて活躍してきた桜木ですが、自分を「素人」と認めました。プライドを捨てさせて、桜木を動かしたのは、人生で初めて懸けられた「期待」でした。

会場からはひんしゅくを買いますが、このシロートの言葉と行動は、背水の陣を敷くものでした。桜木の行動によって、湘北は息を吹き返します。

個人的に、この「シロートだからよ」と言った桜木花道は、一番格好良く感じます。なぜなら、一番認めたくないであろうことを認めたからです。

桜木に課せられた使命は、オフェンスリバウンドを取ること。反則スレスレで、野辺からリバウンドに競り勝つと、前半同様、後半初得点を決め、連続ゴールを挙げる桜木。やっと追い上げムードが生まれ始めるが、赤木は泥沼の中にいた。そのおかげもあってか、桜木は覚醒していく。フリーでパスを受けた赤木は、ダンクに行くが、バランスを崩していまい、倒れてしまう。

 

魚住見参

そんな赤木を救ったのが、ライバル魚住でした。

陵南戦、魚住は赤木に勝てなくても、自分が脇役となって、チームを勝たせるために、泥臭く戦いました。山王戦の赤木は、陵南戦での魚住と同じような状態でした。「河田に勝てなければ、湘北は勝てない」と。しかし、赤木は手も足も出ないほど完敗し、心が折れかけていた。そこに現れたのが、魚住です。

「華麗な技を持つ河田は鯛。お前は鰈(カレイ)だ。泥にまみれろよ」

これは、同じ苦しみを味わった魚住だからこそ言えた言葉であり、赤木に最も必要なことを言えたのだと思います。

魚住が、陵南戦で味わった屈辱や、過去の挫折は、結果として赤木を救うことになります。赤木もまた、屈辱を乗り越え、河田との勝負にこだわることなく、プライドを捨てました。自分だからできる「体を張る」ことで、チームを勝たせる役割に徹するようになります。陵南は負けましたが、その負けが、湘北を勝たせる要因の一つになった、と言えますね。

 

自分の役割を果たすこと

「河田は河田。赤木は赤木」と語った三井も、ふらふらにながら、自分の役割の3Pシュートを何度も決め、赤木と2年越しのグータッチ。

宮城がパスを出し、赤木がスクリーンをかけてくれて、シュートを外しても桜木がリバウンドを取ってくれる。自分は、ただシュートを打てばいい。そういった信頼によって動いていた。見事に流れを引き寄せたが、そのリズムを生み出したのが、桜木だった。

赤木は、晴子が連れてきた桜木との出会いを思い出す。

「お前が見つけてきた変な男は、湘北に必要な男になったぞ」

そしてついに、赤木が手も足も出なかった河田が、桜木をマークすることになる。

桜木の急成長には胸が熱くなります。しかし、そこで立ちはだかるのがスーパーエース沢北。赤木の次は、流川が封じられ、桜木も河田に押さえ込まれる。そして、残り時間5分で、19点差に拡大。沢北に何度勝負を挑んでも負け続ける流川でしたが、諦めるどころか、相手が本物だったことに、流川は笑う。

今度は、流川がプライドを捨てる番だった。一対一至上主義の男が、シュートの前にパスを出した。全ては勝つために。そして、沢北と互角に渡り合い、点差も縮まる。しかし桜木は、流川が抜かれることを計算に入れ、「負けたことがないからパスはしない」からと、赤木と二人で沢北を止める。

「まだいける」

その時だった。流れを断ち切ろうと、コートから出ようとするボールを、桜木が体を張って取りにいく。

このプレーで会場を味方につけるも、桜木は選手生命の危機になるような怪我をしてしまい、ついには倒れてしまう。痛みが酷くなりながらも、出場しようとする桜木を、安西は止める。そんな桜木をコートに戻したのが、流川だった。

流川の一言で、意地を張り、「ダンコたる決意」ができた桜木は、

「親父のピークは全日本の時か? 俺は今なんだよ!!」

と、頑として聞かず、強行出場する。会場は、赤坊主に大歓声を贈る。

残り時間1分で、5点のビハインド。

痛みに耐えながら、桜木がブロックすると、ふらふらの三井がファウルを誘いながら3Pを決め、4点プレイに。さらに、河田をついに止める赤木。沢北を止める桜木。
思いを繋いだボールを受け取った流川が、決まれば逆転のシュートを止められる。こぼれ玉を拾った桜木は、ついに流川にパスをして、逆転に成功。

しかし、桜木は痛みで動きは鈍い。またも沢北がゴールを決め逆転し、勝負ありか、という残り9秒。桜木はゴールに向かって走る。流川がボールをもらい、シュートを打とうにも、沢北と河田のガードが。横目に見えた、フリーの桜木。流川は桜木にパス。

得意の右45度。

「左手は、そえるだけ…」

ゴールが決まり、試合終了。

残り時間1分で、初めてお互いパスを出し、初めて手を合わせる二人。

湘北、奇跡の逆転勝利。

輪に加わらない安西先生がとても可愛いです(笑)

 

負けることの価値

負けた山王の堂本監督は、選手に声をかける。

「負けたことがあるというのが、いつか大きな財産になる」

負けても、這い上がることが、大きな財産になる。これこそ、道楽舎がずっと言い続けている「せいをおかげに」というものです。桜木や魚住がそうだったように、負けたからこそ、屈辱を味わったからこそ、赤木を救うことができたし、チームを大逆転させるきっかけになりました。

負けなければ得られないものがある。それが、この名言の真髄であり、「せいをおかげに」と通じるものがあります。

湘北は20点差を覆し、その後もまた差を広げられても、桜木の大逆転によって、山王工業に勝利しました。

 

己が下手さを、知りて一歩目

山王戦においては、ある意味「できないことを認めること」が、勝利の鍵になったと言えます。陵南戦でもフクちゃんに負けるまでは、わかってはいたものの、認めることができなかった素人である己が下手さ。
後に、2万本シュート合宿にて、安西先生が「己が下手さを、知りて一歩目」という言葉をかけます。できないことや認めたくないようなことを認めることで、それが武器にもなるということです。

「道楽」においては、できることもできないことも、価値は同じです。ただし、できないことをできないと認められれば、の話です。見たくないことと向き合うことは、勇気がいります。そして、何も起こらなければ、向き合うことはできないものです

桜木にとって向き合うきっかけになったのが、フクちゃんに負けた屈辱でした。負けた屈辱は、"せい"にしたくなるような出来事です。しかし、その出来事がなければ、陵南に勝つことはできなかったかもしれないし、山王工業には負けていたでしょう。「天才!」と言っていた自分を、「素人」と認めることは、相当な覚悟があったはずです。"せい"にしたくなるよなことがあっても、受け入れて向き合うことで、試合に勝つことができた。つまり、「せいをおかげに」したということです。

屈辱は、自分と向き合わせ、「せいをおかげに」する為にあるものだと道楽舎は考えています。

「断固たる決意」という言葉も出てきますが、屈辱を味わうことで、覚悟も決まるものです。格好つけようとせず、諦めがつき、見栄を張ることなく、なりふり構わずに全力を尽くすことができたりするものです。余分なものを捨てる為に、屈辱を味わうのかもしれませんね。

 

諦めない男・三井寿の「せいをおかげに」

『スラムダンク』において「せいをおかげに」と言えば、男子に大人気のみっちーに触れないわけにはいきません。

それは、木暮が言ったセリフにあります。

「後悔の念が強い分、過去を美化し、今の自分を責める傾向がある」

それにしても、木暮は含蓄がありますね。高校生でこの言葉が言えるとは(笑)

三井は、神奈川の元中学MVPです。安西先生の「諦めたらそこで試合終了だよ」と言われたことで、湘北にきました。

そこで、ライバルとなる赤木と出会いますが、自分が怪我をしている間に活躍する赤木の姿を見たことで自信を失い挫折します。その後、バスケから離れ、不良軍団の一員となってしまいました。そして3年生になり、バスケ部をぶっ壊しにきます。しかし、桜木軍団の返り討ちにあい、そこに現れた安西先生の姿を見て、

「安西先生、バスケがしたいです・・・」

と泣き崩れるのは、有名なシーンです。

言うなれば三井は、この経験が一番の挫折でしょう。バスケ部をぶっ潰しにきたのに復帰するのは、相当な覚悟がいったことだと思います。

それに、タバコは吸わなかったものの、2年間のブランクは大きいものがあります。陵南戦では、体力が最後まで持たず、悔しがるシーンがありました。

山王戦でも、3Pをバンバン決め、終盤には意識が朦朧としながらも、倒れかけながらパスカットをしたり、ファウルを誘って4Pプレイを成功させたりします。

安西先生は、そんな三井に対し、「今の君はもう十分、あの頃を超えているよ」と、認めています。

三井は、元中学MVPという過去の栄光がありますが、木暮が言っていたように、三井はブランクが長く、後悔が強いことで、過去を美化して現在の自分を責めてしまっている。これは、誰にでもあることだと言えます。大きな失敗をしてしまったことで、自信を失い、過去の成功に捉われているということです。

三井は、"せい"にしたくなるような過去の挫折に捉われていると言えます。もちろん、十分な活躍もしていますが、自分自身で認められなければ、自分を責めたままでいることでしょう。どうなれば"おかげ"になるのかは、三井にしかわかりません。「挫折して良かった」と言えるような時が来るかはわかりませんが、例えば「2年もブランクがあるのに、これだけ活躍できてる」という感じで自分を認められたら、過去に捉われて自分を責めるというようなことはないのかもしれません。

「道楽」において、成功も失敗も同じ価値なので、成功しようが失敗しようが、経験したモン勝ちだと考えています。失敗を恐れて失敗も成功もしない方が無駄です。たとえ無駄足になったように見えることも、その経験は、必ず"おかげ"にすることができます。

様々な経験を、無駄にするのも役立てるのも、全ては自分次第です。何かの"せい"にして、自分の問題として向き合わないのではなく、しっかりと向き合っていくことで、"おかげ"にすることができる

桜木や魚住、そして三井の姿を通して、「せいをおかげに」するということが、どういうものか、見せてもらったように思います。

 

感動は、まだまだ終わらない!

さて、「湘北vs山王工業」を振り返りながら、「道楽」について熱く述べてまいりました。この試合は、名言、名シーンのオンパレードで、どこを切り取っても、胸が熱くなります。ついつい、画像多めになってしまいましたが(笑)、その熱さがあるからこそ、「道楽」も際立つというものです。

しかし、「湘北vs山王工業」から見出した「道楽」はまだまだ終わりません!

続きは、(後半)でオールコートゾーンプレスのようにお送りしてまいります!(笑)

 

(※画像出典:『slam dunk』/井上雄彦 集英社)

 

 
 

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